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東大生だけど彼女は頭が悪いから を読んだ

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0.なぜ興味を持ったか

かなり今更感がある話題なので笑、わざわざ説明する必要もないかもしれませんが、一応前情報を説明しておきます。 『彼女は頭が悪いから』は2016年に東大生が集団で起こした強制わいせつ・暴行事件(産経ニュース)を題材にした姫野カオルコ氏の小説です。

私自身はこの事件があった時にもう既に東大に在籍していて、加害者の一人が以前所属していたテニスサークル在籍の友人がマスコミの取材ラッシュでげんなりしていたことと、Twitterでやや話題になっていたことしか印象にありませんでした。TLの東大生の反応としては、どちらかというと加害者の所属していた学科を弄ったり、「お誕生日研究会」という絶妙なサークルをネタにしたりしているtweetばかりだったと記憶しております。 (勿論所詮私の観測の範囲内に過ぎないのですが)特に被害者を責めたりする論調のものはなく 、この小説で某芸人や某掲示板がセカンドレイプじみたことをしていたんだなあと知りました。

この本の出版は2018年7月に出版されたものですが、同年12月に東大でブックトークを行いまして、その時のほうがむしろTLは紛糾していました。年末暇だったこともありましてブックトークのtogetterまとめ『彼女は頭が悪いから』への反応をめぐる考察東大生強制わいせつ事件傍聴人が「彼女は頭が悪いから」を読んだから筆者のインタビュー その他読書記録等々の文章に目を通して自分も読むに至りました。

1. 読んでみての感想

1-1.全体の感想

詳しいあらすじは買ってまで読みたくない東大生のための「彼女頭悪」ネタバレゆるレビュー を見て頂ければおおむねわかりますが、自分がamazonレビューやtwitterの東大生の反応をみて想像していたのよりは東大生に関する批判一辺倒ではないな、と思いました。一貫して「他者への想像力の欠如」が描かれていました。もちろん、東大生に関する記述(後述)はあまり気分がいいものではありませんでしたが。 ただ、「東大生」というブランドを利用しまくる女だとか、とりあえずサクッと既成事実作って男分捕るJKだとか、そういう「搾取側」の女性の姿も描かれていて、「学歴社会」の構造と女性蔑視が結びついて~云々の話だけではなかったです。その分何が言いたかったのか感もありますが、この部分があることによってマッチョイズムや学歴権威主義が男性の、東大生のものだけでないことをさらっと示してあります。
  
東大生親子の持つ効率主義の人生観部分に関しては自分としてもかなりドキッとさせられる部分がありました。登場人物の一人が司法試験失敗を契機に地方に行って田舎暮らしを始めるのですが、主人公は「東大まで行ってあほみたい」とわずかに思うだけです。自分も中高一貫男子校出身なので結構わかってしまうのですが、親子ともども明確に「投資」であることを意識しているのですよね。だから、東大に入ってレールに外れる選択肢を「あほ」とみなしてしまう。

これもある種「想像力の欠如」であって、 大学に入っていろいろインターンなりサークルなりしていたら気づくところなのですが、 色々な生き方があることに物語の東大生たちは気づかないし理解できない 。そんな奴現実にいるんかよ、と思うんですけどたまにいるんですね~これが。まあどういう人種なのかは包括的な性質を述べよ、と言われても困るのですが。親の洗脳が効きすぎてるのか、サークルとかでよっぽど同じような人間ばっかりあつまっちゃったのかなあ。

1-2.東大生批判部分

「ここまで現実に寄せて書くならルポタージュでよかった」という意見も見られますが、この作品で行われているのは
 1.美咲(被害者女性)をあくまで普通の女性として描く
 2.加害者東大生を効率重視の感受性に乏しい集団として描く
の2点であって、これは小説でなければなしえなかったことであると思います。
ではなぜこんな書き方を筆者がしたかといえば、当然被害者を責める論調への反論と加害者のような考え方をする世間の人間へのある種の反撃であり、反撃の過程で感受性の乏しさを強調するに至った訳です。「感受性がつるつるで~」という表現が地の文に10回以上出てくるので本当に筆者がそう思ってるような気がしてきますが、まあさすがにそんなことは無いでしょう。(もし本当にそう思っているのだとしたら東大生という属性に対してレッテルを張り返しているだけになりますし)

2.結論

これを読んで東大生としてどうするべきなのか

どうもしなくていいんじゃないですかね。そもそも小説ですし。先述のとおりかなり意図的に脚色された東大生像ですし、そもそも東大生って1学年3000人もいますし。なんかよくわかんない他人が起こした事件に反省しろとか言われてもやっぱり困ってしまいます。あえていうなら「他者に対する思いやりや想像力をもて」という話になりますが、この話が届いてほしい類の人間にはこの本はとどかないだろうなあ、というよくある構造に陥ってしまいそうですね。
他者への想像力はやはり多様性ある環境でしか鋭敏にならない(イチロー選手も自分がマイノリティであることを感じたと言っていましたね)ので、東大生にもしできることがあるなら色んな環境に飛び込んで、馬鹿にせずに色んな人と交流しろという話になりそうです。

東大はどうすべきなのか

これまた個人的には「どうもしなくていいんじゃないか」と実は思っていて、大学生にもなる人間に道徳教育する必要があるのか、あったとしてそれは効果的なのか?というところが結構疑問です。(ここら辺いくらか書籍があるので追加で考えてみたいところです)
慶応や東大出身の性犯罪が取りざたされていますが、頻度は他の大学に比べて優位に高いのか、高かったとしてそれは学歴構造と結びついた犯罪といえるのか、は全然検討なされていないように感じます。
ただ、いろんな方面から指摘されているように多様性を担保するべき大学が中高一貫にある種占拠されていて(ここら辺耳が痛い)、その中高一貫校が十分に多様性ある組織での機会を設けられていない、という批判はありえそうで、この辺は調査すべきところかもしれないですね。自分の出身校はそれなりに取り組んでいた記憶はあります(が、恥ずかしい話自分はないがしろにしていた)が…

未読の人間はよむべきか

もとになっている事件があっていろいろ考えさせられるものではありますが正直必読というほどではないと思いますね…興味があれば是非、という程度です。
東大読書まとめ
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