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経済数学の直観的方法

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経済数学の直観的方法

経済数学の直観的方法 -マクロ経済学編- を読みましたので自分のメモ書き程度に概要をまとめました。本の読み応えある内容の本の一部ですので興味を持たれた方は読んでいただければ幸いです。
経済学を勉強する意義を感じていない人、理系の教養経済で「え、経済学こんな程度の数学しか扱ってないのかよ…」と思った人間におすすめです笑ここに書いてある意見は筆者意見を読んだ私の解釈をメモ程度にまとめたものです。
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0.初めに

最新の経済数学はもはや高校数学の少し上級なもの、という程度のものではなく理系の物理学徒ですら理解に苦しむようなモノになっている。それでいて現在の最新の理論はもはや数学と不可分なものになっているため文系の新書などで取り扱うとこが難しく、世の中全体として経済学の「幹」のようなものが見にくくなっている。そのため、本書においては物理と経済の中間に視点を置いて、理系からも文系からも興味深い読み物にするようにしてある。その視点から見ると経済学においてマクロ経済学の「動的マクロ均衡理論」と金融工学の「ブラック・ショールズ理論」が二大難解理論としてそびえており、マクロ編では前者を扱っている。

1.動的マクロ理論以前

1-0.物理と日本人

日本においては高度な数学である和算と機械技術が存在したがその二つをつなぐ物理がミッシング・リンクとなっていた。ここでいう物理とは「この宇宙はどのような原理で動いていて、それを記述するのに数学をどのように使うか」という一種の思想や世界観である。しかし、一種の教養として理系の話題やその背景の思想へのリテラシーは高いので、「経済数学がどのようにして物理の作用を吸収したか」から入ることが日本人一番理解を高めるであろうと考える。

1-1.乗数効果

アダムスミスに始まる近代経済学自体がニュートンの天体力学に倣ったものであるとさえ言える。神の領域であったはずの天体の運行が数学によって記述できるというのは大きな革命であり、価格が需要と供給にの間で周期的に自動的にバランスをとるという中心思想が物理を基にした部分である。そして物理の世界では粒子や機械の部品などにもミクロな天体であると考えてメカニズムを組み合わせることでマクロ的現象も理解できると考えられるようになったが、当然経済学にもこれが取り入れられた。アダムスミス当人はそれほど熱心ではなかったが英国よりむしろ大陸側のフランスやオーストリアの学者が「自由放任=レッセフェール」としてミクロ的原理を発展させ、ワルロスやパレートによって「一般均衡理論」が成立した。 天体力学には同時に位置・速度・加速度を結び付ける微積分という強力なツールが生まれていたが、ワルラス等の体系は最重要ツールの微分方程式を使えていなかった。一方経済学の世界ではケインズが世界恐慌を解決するための積極的には数学に使わない独自の体系を作り上げていた。ケインズが積極的に数学を使わなかった理由は決して数学に精通していなかったからではなく、所謂「三体問題」や「合成の誤謬」を恐れてのことである。そしてこの態度は企業単位での効率最大化を図るミクロと政策を考えるマクロへの分岐が起こった。そしてこの時期のマクロ経済学で最も使われたのが「乗数理論」であった。

1-2. IS-LM理論

もう一つケインズ経済学の大きな柱として存在しているのが「IS-LM理論」である。この理論は「金利水準をどう設定すれば投資を最大化できるか」という問題意識からうまれた。この理論は利子率-国民所得(投資)のグラフを、「投資者」と「預金者」の二つの目線から見て考えるというもの。 IS曲線(投資者の視点)では利子率が低いほど投資が活発になるので、利子率-国民所得(投資)のグラフは右肩下がりになると考えられる。LM曲線(預金者の視点)では利子率が低いほど投資(預金)は活発になり、曲線は右肩上がりになるはずである。この二つの曲線の交点を均衡点としてやる。というのがこの理論の肝である。 先ほどの乗数理論ほど完成されたものではなく、数々の批判がなされているが、おおむねこのようなものであると理解しておけば一旦問題ないということ。(というのももはや学部レベルの”マクロの課題を理解する”ための教育的道具となっているため)

2.幕間

米国の経済理論と動的マクロ理論の登場

ここまで話がヨーロッパ中心に進んできたが、この辺で「米国」という巨大なファクターが無視できなくなり、米国を中心として以後経済の発展は進んでいく。個人主義の強い米国においては「ミクロのものを最大化したときにマクロで最大化する」ということが成り立たないと根底が揺らいでしまうので、ミクロとマクロが接続しないことが大きな問題であった。 そうした中で「解析力学」の考え方を経済学に用いることでこの壁を解決したのである。解析力学は天体の動きを逐一追うようにして描かれていた直線を絶ったひとつの原理から描き出すことのできるもので、物理の体系をきれいな形に整理しなおすモノである。全体のエネルギー効率化を経済学に応用すると、循環する景気の中で投資をどう最大効率化することができるかを考えられたのである。このような全時間軸においての問題を「動的」という。 この話が80年代の日本に入ってきたとき、当時隆盛を誇っていた製造業に直接役立つ話ではなかったためか、強い拒絶反応が示されたのである。小難しい数学の理論がどのように役立つのかという意識が強かったようだ。(その後ケインズ経済学の衰退とともに日本の製造業がどのようになっていったかはご存知の通り)。最近の経済学を学ぶ意義はこのあたりにある。

3.動的マクロ理論以降

3-1.フェルマーの原理

光は通過時間が最小になるパスを通るという「フェルマーの原理」から「消費のパスを最小化する」という経済の思想に繋がった。この1.フェルマーの原理(光の通過時間最小化)を扱うために2.解析力学(物体の動きを解析。ラグランジアン最小化)が生まれ、そこから3.最適制御理論(最小化したい量を人間がラグラジアンとして設定。時間パスをどのように設定してやるか、という「工学」に。)に繋がり、4.動的マクロ理論(企業や政策当局の行動が対象にしてラグラジアンを設定。)へとつながる。1-4までのつながりを知ることは物理と経済両方の知識を持っていないと難しい。

3-2.ラグランジアン

動的マクロで登場するラグランジアンというものが何かを説明する。光のパスを考える際には通過時間を最小化すればよかったが、その他の物体の動きを考えたときには必ずしもそのようになっているわけでないことが多い。しかし、何かしらの物理量が最小になっているものと考えられ、見出されたのがラグランジアンであった。ラグラジアンには条件があって、変数が一方の変数の時間微分であるということである。物理においてこの条件を満たすというのは簡単な話で、位置速度加速度を考えてやればよい話であった。しかし、経営や政策の話でこれらを考えるというのはかなり直観に反する話だと長年考えられていた。

3-3.ルーカス批判

1970年代において世界でインフレの嵐が吹き荒れた。ケインズ経済学において積極的インフレ状態に持っていくと景気が上向くということであって、60年代には実際にこれで成果をあげていたがインフレの恒常化で70年代に疑問符が付いた。考えてみると重要なのは景気の成長率だけでなくその「変化率」が重要であった。つまり毎年3%であった成長が急に4%になる、というようなことで1%の期待とのずれが大事であった。 このような「変化率」がない場合インフレと不況が同時進行する、という批判がシカゴ学派フリードマンを筆頭とする「合理的期待形成仮説」であり、これを経済社会の大なり小なりの部分で見られるとしたのが「ルーカス批判」である。この批判によってある種孤立した理論であったラムゼイ・モデル(動的マクロの初代)がラグラジアンと繋がる。

4.その他

4-1.ハミルトニアン

経済においては主流でないが、物理の世界においてはラグランジアンを変換したハミルトニアンが主流になっていた。ラグランジアンにおいてはあるパスにおいて合計値が最小かを求めてあげなくてはならなかったが、ハミルトニアンにおいてはパスの途中において一定であればよい。という性質のもの。「持続可能な社会」を考えたときに主流になるかも?

4-2.学部レベルの最適化の話。

学部で習うレベルの最適化はラグランジアン、制約条件、未定乗数法等の方法を用いると機械的に解くことができるためにこれらを用いているが、本来は必然性が薄いものである。なぜなら、時間軸が止まった「静的」な問題がおおく「動的」ではないため、高校の微積の延長で解けるため。

4-3.乗数理論

乗数効果に関しての説明は、それほどむずかしいものではないので、wikipediaから引用しておく。この理論は現代でも通用するものであるが1900年代後半の日本においてはその限りではなかったらしい。
今各家計の可処分所得が1単位(たとえば一万円)増加したとき、平均してその割合βを消費し、1-βを貯蓄に回すとする。(0≦β≦1)。β、1-βはそれぞれ限界消費性向、限界貯蓄性向と呼ばれる。 さて、企業や国家の投資により、全家計の可処分所得の合計値がX円増加したとすると、家計はそのうちβX円だけ消費に回す。このβX円は企業の収入となり、それは給料として再び各家計に入る。すると家計はこのβX円のβ割にあたるβ2X円を消費に回す。このβ2X円は企業経由で再び家計に入り、家計はそのβ割にあたるβ3X円を消費に回す。以下、これが繰り返されるので、最終的に総消費は

$$X + \beta X + \beta^2X + \beta^3X + \cdots = \frac{X}{1-\beta}$$
増加する。 すなわち、最初に行われた投資Xの1/(1-β)倍分だけ消費が拡大する事になる。 例えばβ=0.9であれば、1/(1-β)=10倍も消費が拡大する。 この1/(1-β)の事を乗数といい、1/(1-β)倍消費が拡大する現象の事を乗数効果と呼ぶ。

なお最初に投資されたX円は、上述した乗数効果のサイクルのどこかの段階で家計の貯蓄となり、X円全てが貯蓄に回った段階でサイクルは終了する。従って消費が乗数倍されるのに対し、最終的な家計の貯蓄は投資額と同じX円である。

読書まとめ
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